ぜいたくとしての睡眠
最近、睡眠の研究が多くの人の関心を集めるようになりました。
この理由は、ひとつには、現代の文明人の大半が、自分の眠りに不満ないし不安を抱いているためでしょう。
それゆえに、どれだけどのように眠ればよいか、といった素朴な疑問に始まり、忙しい毎日に睡眠時間をできるだけ切り詰めて、もっとはたらくにはどうするか、効果的に熟睡するにはどうするか・・・
といった欲張った要求まで、さまざまの面で自分自身の眠りを検討する人が多くなったわけです。
そこで、眠りとは本来どういうものなのか、を見直そうという人がふえたのです。
さらに、現代人の欲求はしだいに肥大し、エスカレートし、ぜいたくになっています。
食欲を満たすという行動は、生物の生存のために重要な意義をもっています。
性欲を満たすという行動も、種族の維持のためという基本的な意義があります。
眠欲を満たすという行動は、個体の維持にかかわっています。
このような第一義が達成されると、つぎの意義が派生してきます。
栄養補給のための食事が、こんどはおいしいものを食べたい、というふうに発展するのです。
こうして、さまざまな現代的付加価値を伴う欲望は、もはや生物学的な本質を見失わせるほど変化しています。
本能が最初に用意した報酬だけでは、現代人は満足しなくなったのです。
生活が豊かになって、食文化に関心が集まってきたのと同じように、布団 羽毛で眠るなど、眠りの文化も熟してきつつあります。
さらに、健康のための眠り、美容のための眠りへの認識も高まる一方です。